音楽現代2022年の表紙

「音楽現代」2022年1月号より、新しいシリーズでの表紙が始まりました。
精緻な描写で「音楽」の世界を表現する(株)イノベーションパートナーズ所属コンテンツクリエーターのナオキ・シシドさんの作品で彩られていきます。

ぜひお手にとってじっくり向き合っていただきたい作品群となっております。向き合うポイント、そして見えてくるもの、聴こえてくるもの、季節感…。五感をくすぐられる表紙作品の数々をこのページでご紹介してまいります(毎月の表紙をこのページに更新していきます)。

ナオキ・シシド(株式会社 イノベーションパートナーズ所属コンテンツクリエーター)
会社員として働く傍ら、佐賀県嬉野市の老舗旅館「和多屋別荘」内のアトリエにて創作活動中。2021年夏、「循環する生命」をテーマに書道家・山口芳水氏とのコラボレーション作品を制作。若手アーティストの登竜門「Independent Tokyo 2021」にて同氏に披露いただく。その他「和多屋別荘」館内レストラン”SHINZO”にて作品を展示中。生物や機械のモチーフを多用した精緻な異世界描写や感情表現が特徴。
ナオキ・シシドさんが初の個展「浸蝕-shinshoku-」を開かれます!
会期:2022年7月1日(金)〜8月31日
開催場所:和多屋別荘 POP UP STORE(フロント前)
入場料:無料
詳細:イノベーション・パートナーズ

 

音楽現代2022年7月号─「夏朝日」

 眠れず飛び出した夜明け前。
眼前に広がった暗い海の向こうから、まぶしい光線を連れた太陽が昇り始めました。
次第にじりじりと熱くなる体。その上を透き通るような風が優しく吹き抜けていきました。
神々しい太陽の姿に、生きる力をもらった夏の日の思い出です。 (ナオキ・シシド)

〈クイズ〉
暗い海から、まぶしい光線を連れた太陽が昇り始め、生きる力をもらったある夏の日。その背景から聴こえてくる曲はフレデリック・ショパンの力強いあの曲のようです。なんの曲かわかりますか?

ヒント1:力強いアルペジオの曲です。。

ヒント2:ショパンの練習曲の中の1曲です

ヒント3:表紙作品についてナオキ・シシドさんは「広がった海」という言葉を使われています。

(もう、おわかりですね。答えは詳細解説の下)

  1. 太陽=向日葵(ひまわり)
    …強く眩い光を放ち、その姿を現す太陽。
    遥か彼方、空と海の境界線で燃え滾る様は、夏に咲き誇る“向日葵”の花を想わせる。
    ひまわりの花言葉は「情熱」
  2. 大海原
    …果てなく広がる海。生暖かい風は、海面を優しく撫でながら、静かに波音を奏でている。
    光の反射で海は燃えるようにと輝いている。

朝は、1日の始まりを告げ、私達の世界に光を届続けてくれます。
夜は、静寂を迎え、私達に安らぎを与えてくれます。
夏は太陽が一番近い季節なので、2つの関係がよりはっきりと感じることができると思います。
僕もこの広い宇宙の一部なのだと感じた時、なんとも言えない感覚に心が躍ります。(ナオキ・シシド)

 

〈クイズの答え〉
ショパン/12の練習曲集(エチュード集)第12番「大洋」Op.25-12 ハ短調

音楽現代2022年6月号─「雨の庭」

 

 恵みの雨が降り注ぐ6月。
潤いを待ちわびた庭先の住人たちは喜びで賑わいます。
梅雨の時期はつい家の中に引きこもってしまいがちですが、自然界は反対にどんどん活気づいていきます。
外に出て、夏に向けて緑を濃くする草木をかき分けてみると、生き物たちの小さな世界が垣間見られるかもしれません。(ナオキ・シシド)

ドビュッシーの「雨の庭」から、雨をたたえる裏庭のいきものたちをイメージし、描いてくださったという今月の表紙。

「雨」を喜んでいる「いきものたち」を、みなさんはいくつ思い浮かべられますか? 「カエル」「カタツムリ」「紫陽花」…子どもの頃に観察した記憶なども蘇ってきそうですね。

生き物たちのあふれんばかりの生命力が水の表情と共に大胆にそれでいて緻密に描かれている作品です。

雨が長引く6月は、人間とっては少々ブルーな季節かもしれません。
そんな季節こそ、外に出ていきものたちの社会をじっと観察してみたい。そこにはきっと、どんよりとした気持ちを吹き飛ばすようないのちの輝きがあるはずです。(ナオキ・シシド)

  1. 庭の住人「カエル」:庭に住む住人の代表。いつも赤いキノコに座って、雨音に耳を澄ませている。
  2. 庭の住人「カタツムリ」:水しぶきのなかに隠れているカタツムリ。庭には隠れた住人たちが実はたくさんいる。
  3. 庭の住人「ノーム」:雨に紛れ、姿を表す。雨の日の濃密な時間と空間を楽しんでいる
  4. 庭の心臓:いろいろな生物が集まる庭は、それ自体が一つの生命体のよう。
  5. ガクアジサイの花:梅雨の時期を代表する花。人目に触れない裏庭にひっそりとつつましやかに咲く。
    花言葉は謙虚。
  6. クローバーの葉っぱ:いろいろないきものの暮らす裏庭が、穏やかで幸せな場所であるように、という願い。
    花言葉は「私を思って」。

シシドさんが所属されているイノベーション・パートナーズ様でも小誌の表紙をご紹介してくださっています。併せてご覧ください。
https://innovation-partners.jp/news/2022/05/16/1074/

 

音楽現代2022年5月号─「explosion」

 

 母なる大地を鮮やかな新緑が覆う5月。いのちの輝きを感じる季節です。地球の起源に思いを馳せながら、生まれ来るすべてのいのちと、それらを生み出す存在である母という存在を表現しました。
大地を震わすほどに力強く拍動する無数のいのち。爆発的にみなぎるそのエネルギーが、僕にも力を与えてくれます。(ナオキ・シシド)
[クイズ]
今月号の表紙に登場している曲は何の曲だかわかりますか?
  • ヒント1
    2/4拍子、ハ短調の曲。冒頭部で扉を叩くような印象的なモチーフが提示されている。
  • ヒント2
    ベートーヴェンのある交響曲の第1楽章冒頭が描かれています。
  • ヒント3
    冒頭の動機は「ジャジャジャジャーン」と表現されることが多い。
    (答えは表紙のモチーフ解説の下)

[モチーフ解説]

  1. 女性
    新しい命を身ごもることをきっかけに、「母」と呼ばれるようになった存在。
  2. 受精卵
    いのちの発生。
  3. 誕生するいのち
    爆発的なエネルギーを持って発生するいのち。
    母の日の花であるカーネーションの花冠をイメージ。
  4. クラリネット
    人の声に近い音を奏でる楽器。産声をイメージ。

 

[クイズの答え]
描かれている楽譜は、ベートーヴェン/交響曲第5番「運命」です。

冒頭のジャジャジャジャーンは『運命が扉をたたく音』とも言われていますが、シシドさんは、「僕は地底から力強くいのちがみなぎる様子を思い浮かべました。」と表現されています。イノベーションパートナーズ様のサイトでさらに詳しい解説が公開されていますので、ぜひ併せてお読みください!

https://innovation-partners.jp/news/2022/04/14/1069/

 

音楽現代2022年4月号─「優しい季節」

荒れ果てたまちに春が来た様子。
まちのシンボルタワーである「ハープの塔」は、人々が消えた現在でも春になるとグスタフ・ランゲの「花の歌」を奏で、まちに春の訪れを告げる。
優しくあたたかいその旋律が流れ始めると、まちのあちこちでゆっくりと花々が蕾をほころばせ、無機質な街が生命力で満ち溢れる。
春はどんな場所にもどんな人にも平等に訪れ、殺伐としていた景色を彩り、傷ついた心を包み込む。殺伐とした街が再び彩りを取り戻したように、傷ついてとがった心も少し優しくなれる。
春は、不思議な力を持つ季節。(ナオキ・シシド)

“荒れたまちに訪れた花咲く季節” をイメージされ、いろいろな花が見え隠れしています。花々と共に流れてくる音楽は風にのって、平和への願いも運んでいるかのように見えます。

楽譜はなんの曲がおわかりになりましたでしょうか?

ハープの塔
…優しく繊細な音色でまちに春の訪れを伝える。

咲き乱れる桜
…優しいピンク色がかつてにぎやかだったまちの大切な思い出を呼び覚ます。
日本の春を象徴する花。

タンポポ
…花言葉:幸福
荒廃したまちに訪れた幸せな時間を表す。

イノベーションパートナーズ様で、音楽現代4月号をご紹介いただいています。
https://innovation-partners.jp/news/2022/03/14/1043/

 

 

音楽現代2022年3月号─「春風と目覚め」

春の始まりと自然の生命力をイメージしました。渡り鳥「ひばり」が日本を発とうとはばたくと、春の訪れを告げる風が吹き抜けていきます。少しずつ暖かくなる空気の中で、生き物たちは冬眠から覚め、草木が芽吹きはじめます。まだまだ静かな大地ですが、耳を澄ますと生物達の鼓動が聞こえてきそうです。 (ナオキ・シシド)

いろいろな表情の「緑」で表現されている今月号は、草木が少しずつ芽吹き、成長していく「春」の表紙です。楽譜にはチャイコフスキーの「ひばりの歌」(「子供のアルバム」よりop.39-22)も見え隠れしています。よくおしゃべりする「ひばり」は「春の季語」にもなっている渡り鳥です。

春の息吹と共に、聴こえてくるのはどんな調べなのか、どんな匂いなのか、五感を研ぎ澄まして観賞してください。

  1. ひばりの翼…ひばりは、秋冬に日本を訪れ、春になると旅立っていく渡り鳥。 羽ばたきとともに、春風を連れてくるイメージ。
  2. まだ眠っている大地…植物や冬眠中の動物の息遣いが聞こえてきそうな静かな大地。
  3. チャイコフスキー/「ひばりの歌」…ここでは、ひばりのさえずりとして表現。 明るい歌声を響かせながら、ひばりたちが静かな大地の上を飛んでいく。
  4. 互いに引き合う…ひばりに連れられた風が合流し、勢いを増しながら空を駆けていく。
  5. ヴァイオリン…木から生まれる音色。ざわめく木々。風のように繊細でありながら力強い音色が、春を歓迎する。
  6. 鎖につながれた翼…季節の移り変わりを象徴する翼。春風とともに冬の厳しさの鎖から次第に解放され、生命力みなぎる季節へと飛び立っていく。
  7. 新緑のつぼみ…春に向け準備をする植物の様子。
  8. 大地の鼓動…冬眠から目覚め始めた生物達の鼓動。
  9. アネモネ…花言葉は儚い恋。 春という季節に恋する気持ち。また、儚いその幸せな季節ををかみしめたいという思い。

 

イノベーションパートナーズ様で、音楽現代3月号をご紹介いただいています。
https://innovation-partners.jp/news/2022/02/14/1012/

 

 

音楽現代2022年2月号─「白鳥と夜の湖」

白鳥の初恋を描きました。冬の夜の湖。自然界の無常を伝えるように、湖面を撫でる風と波の音だけが静かに響きます。凍てつくような寒さの中で、2羽の白鳥が芽生えたばかりの温かな思いを分かち合います。永遠の安息が約束されない世界で愛し合ういのちの力強さ、美しさを表現しました。(ナオキ・シシド)

 

凍てつく世界での強い生命力と惹かれ合う姿から聴こえてくる音楽をぜひ想像してください。
作品に込められたさらに細かな意味を、ナオキ・シシドさんに解説していただきました。

  1. 十字架にみたてた雪の結晶
    =自然の無常。常に死と隣合っているさま、メメント・モリ(memento mori)。
  2. 時計回りの歯車の歯
    =静かに刻々と流れる時。
  3. スノードロップ
    =花言葉は「初恋のため息」。
  4. サン=サーンス「白鳥」の冒頭(ハ音記号での楽譜)
  5. 白鳥のカップル
    =左は雌。静かに漂いながらも、雌から伸びる青い線は、殺風景な景色のなかでもひときわ輝く様子を表している。 右は雄。雌の輝きに魅せられ、着水してきた。
  6. DNAの二重らせん構造
    =厳しい自然の中において命がけで行われる生物の営みを表現。

イノベーションパートナーズ様で、2月号についてご紹介いただいています。
https://innovation-partners.jp/news/2022/01/14/998/

 

音楽現代2022年1月号─「音と記憶」

 


音楽が心に記憶されていく様子を表現しました。ある音楽を聴いたときに芽生えた感情や、その時に見ていた景色。これらはどんなに時間が経ってしまっても、その音楽を聴くと不思議と鮮やかに蘇ってきます。音楽の、記憶の扉を開ける鍵としての側面を思いながら描きました。(ナオキ・シシド)

 

 

表紙を眺めていると、とある曲が聴こえてきます。

楽譜を見つけられましたか?
この曲は……

そうです。
モーリス・ラヴェル/「ボレロ」の冒頭のフレーズです。

最初から最後まで規則的なリズムが刻まれ、そこに何度も何度も同じメロディーが繰り返し現れる曲で、時の流れを意識して聴かれる方も多いかもしれません。

楽譜から少し下に視線を送るとそこには花が3つ並んでいます。

左から、寒菊、福寿草、福寿草。

寒菊は、12月31日の誕生花。
福寿草は、1月1日の誕生花。

演奏が進み、1月1日へ日付が変わっていく様子が描かれています。

視線をさらに右下に下げていくと、ハート型が。心臓の鼓動もまた一定のリズムで刻まれていきます。周りに歯車の歯も描かれており、これは時計にみたてられているそうです。

また、右側のうずまきは、聴覚をつかさどる器官「蝸牛」をイメージされているそうです。

音楽を感じる心と経過していく時間。

「音楽を聴いている時に見ていた景色は、音楽とともに少しずつ記憶の扉の奥に形作られてゆき、遺伝子レベルの記憶として私たちに刻まれているのではないか?」
というシシド氏の考えが詰まった作品です。

イノベーションパートナーズ様で小誌についてもご紹介いただきました。
https://innovation-partners.jp/news/2021/12/14/983/

 

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